■アパレル販売員の接客技術■

第5章 お・も・て・な・し

 

おもてなし

 

皆さんこんにちは!スプレッドファッションイズム、高橋です。

5回目となる今回は、アパレル販売の接客における最初の段階『おもてなし』の準備についてレクチャーしていきます。

 

東京オリンピックの開催地選考で一世を風靡したこの『おもてなし』ですが、その意味ちゃんと分かりますか?

 

おもてなしの意味は2つあって1つ目は『もてなす』に『御』を付けた丁寧語。2つ目は『裏表無し』という意味です。『裏表無し』は裏表の無い心で接するという意味です。

よく言われるマナーやサービスと意味は似ていて方向は同じですが、そのレベルには大きな違いがあります。

 

マナーとは作法や必要最低限のルールの事です。

サービスは似ていますがサービスの最上級がおもてなしと覚えておけば間違いないです。

 

例えば、飲食店でおしぼりを手渡しで渡す。これはサービスです。

この時に「お仕事お疲れ様です。」の一言を付け加えて渡す。これがおもてなしとなります。

 

ある程度マニュアル化されているお店の人・物・割引等のサービスのマニュアルにプラスして、目配り・気配り・心配りでお客様にもっと気持ちよくなって頂くのがおもてなしです。

 

 

図にすると
図

 

な感じです。

違う図で説明すると

 

お客様の期待 おもてなしのレベル 不満、クレーム
お客様の期待 おもてなしのレベル 当たり前、普通
お客様の期待 おもてなしのレベル 満足、感動

となります。

お客様はお店に対して気に入る商品との出会い、新鮮な情報やお得な情報、気になってた商品の確認、必要なものだけすぐ買いたい、自分に似合うものを探して見つけたい、気持ちの良い対応を受けたい、etc…等、

お客様の数だけ期待の種類があります

 

 

 

【おもてなし第一段階

今回上記したようにおもてなしの本質の理解と、お客様の期待に対して自分自身がおもてなしで満足させるという役割なんだという自覚のマインドを持つ事が、おもてなしの第一段階になります。

 

 

【おもてなし第二段階】

マインド面の準備が出来たら、次はお店の準備です。掃除、整理整頓、見やすいレイアウト、導線の確保、レジ金やショップ袋等の備品のスタンバイ等、接客によるおもてなしを発揮できる環境を作る事が第二段階になります。

 

 

第二段階の詳細について

①VMD、レイアウトの計画を立てる

VMDとは「visual  Merchan Dising(ビジュアルマーチャンダイジング)」の略です。VMDはレイアウトやディスプレイのような意味合いで使われる事が多いですが、本来はMD(ブランドの企画、理念、コンセプト等)の見える化です。

 

言い換えればお店の前を通るお客様に対して呼びかける声の見える化。お店のテーマ、コンセプト、意図をお客様に見える化して、お客様からの「キレイ!」「かわいい!」「欲しい!」を引き出す事です。

ですので、先ずは自分のお店のブランドのコンセプトやターゲット等をちゃんと把握する事が大事です、「何となく~○○だったと思う。」ではズレてしまいます。

 

ここがズレると正しく伝わらなかったり、本来の効果が薄くなったりするので曖昧にせずにちゃんと確認しましょう。
本部から細かいVMD指示が無い場合は、お店のメインとなる場所・什器からゾーン毎に展開する商品内容やカテゴリーやテーマを決めていくと迷わずに済みます。

 

(例)・入口のテーブルはセールのTシャツの¥1980均一の集積コーナーにする。・壁面のイメージボードは夏のリゾートコーナーにする。等。

 

②導線、立ち位置を工夫する

色々なお店を回ると目にするのが、什器が所狭しと置かれ過ぎてて横向かないと通れない、他のお客様とすれ違う事が出来ない、ベビーカーが通れない等。

お客様が通る動線は最低1.2M~大型店で4Mが一般的です。アパレルのお店であれば1.5Mは確保しておきたい所です。自分のお店で1.2M以下になってる所が無いか確認してみましょう。

ここで動線と導線という2種類の言葉を使い分けていますが、これもごちゃ混ぜになってる人が多いので解説します。

■動線…お客様が実際に動いた線。結果、実績。

■導線…お客様を導く線。売り手側の戦略、狙い、計画、予測。

です。

 

導線に対しての動線という訳です。導線をちゃんと考えると什器の場所や向き、レイアウトの内容も決まってきます。導線を全く考えないと、レイアウトをいくら考えても効果が薄れてしまう事が多いです。

次に販売員の立ち位置ですが、信じられない事に未だに直立不動で通路を向いて腕を組んだりしている販売員が多々います。お客様の立場になれば分かりますがこれは相当入りづらいです。

 

世の中には手が空いていると思われた方が良いスタッフと、手が空いていると思われない方が良いスタッフがいます。手が空いていると思われた方が良いスタッフは受付やインフォメーション、飲食店のお客様案内等です。

 

アパレルの場合はキャッシャーと呼ばれるレジスタッフになります。これらのスタッフはお客様主導となるため、お客様が声をかけやすいように手が空いていると思われた方が良いです。
逆に店内のメインで動いたり接客をするスタッフは手が空いていると思われない方が良いです。
昔に比べると最近は減りましたが、入店直後にいきなりガツガツ接客に来られるのは誰でも嫌です。

 

お客様のほとんどは販売員に声をかけられる事無く自由に商品を見たいと思っています。試着やサイズや聞きたい事があった時に、自分から声かけて聞ければ良いと思っています。

 

実際は悲しい事に、まだ見始めて間もないのにありきたりな「良かったらご試着できますんで」等を繰り出してくるくせに、いざ試着したいなと思うと周りにスタッフが誰もいないという事が多いです。

接客やフロアをメインにするスタッフは暇そうに見えないようにニコニコキビキビ店内を整理整頓しながら動きながら、お客様の動線になりそうな場所を塞がないでお客様が導線に沿って進んでいけるように空けておく事が大事です。

 

 

 

いかがでしょうか?

今回はお客様のおもてなしの最初の段階、接客に入る前の所をレクチャーしていきました。

 

自分のお店はどうでしたか?

自分自身はどうでしたか?

次回は接客の内容に関して話をしていきますが全体を通して一番大事な事は『お客様目線で考える』という事です。

どれだけお客様目線になれるのか?

のレベルの差がおもてなしのレベルの差に直結する事を忘れないで下さい♪