■アパレル販売員の接客技術■

第6章 価値観・感性の共有

 

 

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皆さんこんにちは!スプレッドファッションイズム、高橋です。

6回目となる今回は、アパレル販売の接客におけるお客様との価値観と感性の共有についてレクチャーしていきます。

 

前回はお客様のおもてなしの準備に関してレクチャーしました。その中で一番大事なのは『お客様目線で考える』事のレベルの差=おもてなしの差だと言いました。

これは、接客に関しても同じことが言えます。

 

レベルの高い接客・メチャメチャ売る販売員というと、もの凄いマシンガントークで喋りまくるイメージを持ってる人が多いですが、自分がお客様だったらと考えれば分かりますがこれは嫌ですよね。

 

例えば水商売の業界で銀座で一流のホステスさんの例でも、売れっ子は自分がメチャメチャ喋る子じゃなくて、聞き上手な子なんだそうです。

 

これはアパレルの販売員においても全く同じ事が言えます。

 

ただ、聞き上手というと何の盛り上がりもなく「うん、うん」と聞いてれば良いって訳ではありません。

例えばあなたが「聞く準備100%大丈夫です!どうぞ話して下さい!」と言われた所で、お客様があなたに対して『話したい』と思わなければ話してはくれません

 

前回お話ししましたが、お客様は販売員に声を掛けられたくないと思って入店してこられます。最初は話そうなんてこれっぽっちも思っていないのです。

ただし、このお客様にたくさん話してもらうにはもの凄いスキルが必要な訳ではありません。

 

説明すると、

お客様がたくさん話す=気づいたらついつい話しちゃった=話が膨らむ質問をする

=お客様の話に対して自分の事のように共感・共有してオーバーリアクションをしていく&興味を持って質問をするだけです。

ポイントはオーバーリアクションと興味を持つ事だけで、これが何より大事です。

 

よく夫婦の会話で妻が一生懸命話してるのに、旦那が適当にあいずちをして話を聞いて、それで妻が怒り出す。あれの全く逆をすれば良いだけなのです。

 

お客様の話に興味を持つ事。これを自然に出来るようになるためには、自分の固定観念を無くすことが大事です。

あなたにも好みがあるのと同じでお客様1人1人に皆違った好みがあります。

 

自分の価値観や固定観念や好みは世界標準ではなく、あくまであなた個人のものだと考える事が大事です。

自分と好みの近いお客様としか盛り上がれないとしたら、それは販売員としては2流です。

 

つまり、1人1人違うお客様の個性を楽しむ気概が販売員には求められます。

 

このお客様との『共感力』『共有力』はお客様からのクレーム対応でも差が出ます

お客様に対して出来る対応は同じブランドであれば、ほぼ同じ対応になります。

しかし、不思議な事に同じ対応なのにどのスタッフが承ったかでお客様が受ける印象、その後のお客様の行動はかなりの差が発生します。

 

例えば、不良品じゃない限り返品・交換は一切受け付けないブランドがあったとします。そのお店に帽子を一度買ったんだけど気に入らないから返品したいというお客様がいらっしゃいました。

ブランド的にはNGなので返品できませんとお断りするのですが、ここでも対応する販売員によってお客様の反応が全然違います。

 

Aさんに対応を受けたお客様は返品できない事を聞くと「何で出来ないんだ!おかしい!責任者を呼べ!」とお客様に言われてしまい収拾がつかなくなってしまいました。

最終的には返金対応する事になり、更に館のフロアの責任者とブランドの責任者が出てきてお客様に謝罪をしなければいけない状況になりました。残念ですが、このお客様はもう2度とお店には足を運んでくれないでしょう。

 

Bさんに対応を受けたお客様は最終的には納得して下さり、その帽子に合う洋服はあるかとBさんに聞き、それを購入して帰りました。次の来店時は返品しようとした帽子と勧められて買った洋服を着てご来店されました。その後も定期的にご来店&お買い物される顧客様となりました。

 

これは実話です。

このAさんとBさんの差こそがお客様との共感力、共有力の差なのです。

 

 

Aさんはお客様の「返品したい」に対して、特に理由を聞いたりもせずにブランドの決められた「出来ません」を一方的に伝えただけでした。

 

一度お客様の立場になって考えてみて下さい。

お客様は一度買ったものをワクワクして楽しみに返品しに来るわけじゃありません。

単純に言いづらかったりしているのです。これに対して何も話を聞かずに「無理です」ではお客様が怒って当たり前です。

「わざわざ商品持って来たのに!!」と不満が倍増し怒りに変わります。

 

実はお客様からのクレームは、商品に対しての商品クレームよりも、その時の販売員の対応が良くなかったという二次のサービスクレームの方が多いのです。

 

Bさんはわざわざ商品を持ってきたお客様の気持ちを汲んでねぎらうと共に、満足頂けなかった事をお客様に謝りました。そして、どこがどう気に入らなかったのか聴き出し、それをお客様の気持ちになって共感したのです。

 

お客様は「最初に来た要望は叶えられなかったけど、このお姉さんに免じて我慢しよう。」「このお姉さんに話したらスッキリした。」等と思ったのです。

 

Aさんは、不満→もっと大きな不満

Bさんは不満→Bさんに対する信用、信頼

になったのです。

 

「こう考えてこうしてるんだけど、うまくいかないんですよね~。」や「お客様の事を考えてこうしてるんだけど全然伝わらないんですよね~」が多い人は、自分の価値観がお客様の価値観とズレている可能性が高いです。

 

身に覚えがある人は、一度自分の『お客様のために』がズレていないか色んな人と確認してみましょう。

自分の部下1人2人だけじゃなく、家族や友人など出来るだけ色んな人と情報交換をした方が価値観のリフレッシュが出来て良いと思いますよ♪

 

ポイントは『自分はこう思ってるのになー』を止める事が第一歩になるのを忘れないで下さい☆